網膜硝子体手術

網膜硝子体手術とは

網膜硝子体手術とは 眼球の大部分を満たしているゼリー状の組織を硝子体といいます。網膜剥離や糖尿病網膜症といった網膜の病気や、硝子体出血などの硝子体の病気を治療するために行われるのが網膜硝子体手術です。
網膜硝子体手術は、眼科手術の中でも、もっとも高度な手術の1つと言えます。当院では、最新の機器を導入している手術室で、網膜硝子体手術を日帰りで受けていただけます。

手術のやり方

硝子体手術のやり方局所麻酔の上、眼球に4つほどの非常に小さな穴をあけ、器具を挿入して処置を行います。
灌流液を入れて眼圧を維持しながら、硝子体や病的な組織を取り除きます。
疾患によっては網膜上の膜を除去したり、網膜にレーザーを照射したりといった処置を加えることがあります。また網膜剥離や黄斑円孔などの場合は、手術で取り除いた硝子体の代わりに医療用のガスを注入して終了します。
手術時間は病気の種類や程度によって大きく異なりますが、おおよそ30分から1時間30分です。

適応疾患

網膜静脈閉塞症

網膜の静脈血管が詰まって流れが悪くなることで、血管の中から血液やその成分が網膜に漏れ出し、網膜の中に出血したり、網膜の中央にある黄斑部が腫れたりします。それにより視力低下や視野欠損、目のかすみ、歪んで見えるなどの症状が現れます。
高血圧、脂質異常症などの生活習慣病により引き起こされた動脈硬化が主な原因となります。

網膜剥離

網膜裂孔は、網膜に裂け目が生じている状態をいいます。網膜裂孔から網膜の裏側に眼内の液体がまわり、網膜が眼球壁から剥がれると網膜剥離へと進行していきます。
網膜裂孔の段階では飛蚊症が主な症状ですが、網膜剥離へ進行すると視野欠損や視力低下などの症状が現れます。

黄斑円孔

主に加齢を原因として硝子体が縮小し、黄斑部が引っ張られることで黄斑部に小さな穴が開く病気です。
急激な視力低下、視野の歪みなどの症状を伴います。

黄斑上膜

網膜の中で最も重要な黄斑部の上に薄い膜が生じる病気です。
軽症の時は症状が無い場合もありますが、進行すると視力低下や歪んで見えたり、物が大きく見えたり小さく見えたりするなどの症状が出現します。
黄斑前膜や網膜前膜と呼ばれることもあります。

糖尿病網膜症

糖尿病の3大合併症のうちの1つです。糖尿病によって毛細血管が詰まったり、血管が壊れることで症状が引き起こされます。
初期の段階では網膜内に点状・はけ状の出血が起きますが、自覚症状はありません。進行すると硝子体出血や網膜剥離などを引き起こすこともあります。また適切な治療を受けずに放置していると、最悪の場合失明します。

硝子体出血

糖尿病、網膜静脈閉鎖症などを原因として網膜の血管が切れ、眼球の中央部分にある硝子体に血液が溜まった状態を指します。
少量の出血であれば自然吸収することもありますが、出血量が多い場合には硝子体手術が必要になります。

網膜硝子体手術の流れ

網膜硝子体手術の対象となる疾患は眼科の中では重症の病気が多いため、術前に複数の検査が必要となります。そのため、初診から実際に手術を受けていただく日までに何度かご来院頂く必要がります。

初診

初診 問診でお困りの点をお聞きした上で、基本的な眼の検査を行い、診察で眼の状態を確認します。
病状によっては、手術までに追加検査をご予約にて受けていただきます。
手術をご希望された場合には、後日、手術説明にお越しいただきます。

手術説明

手術を受けられる患者様や家族様を対象に医師から直接、手術内容を説明させていただきます。
可能な限り、ご家族様にもお越しいただくことをお願いしています。
ご本人様とご家族様に、病状と手術内容をご理解・ご納得いただけましたら、術前検査と手術申し込みの予約をします。

術前検査・
手術申し込み

術前検査手術を行う際に必要な目の検査や、全身状態の確認のための血液検査などを行います。網膜や硝子体の病気は内科疾患と関係することが多いため、術前にかかりつけ医にお問い合わせいたします。かかりつけをお持ちでない場合は、術前に内科を受診いただく場合があります。
看護師から、手術の流れや注意点など資料を基にご説明させていただきます。
術前の血液検査結果や、かかりつけ医からの指示によっては、手術が実施できない場合もあります。

手術当日

手術前の処置

術前の処置血圧を測定し、点滴を行います。
手術開始までの間、点眼をします。

手術

局所麻酔下で硝子体手術を行います。

手術終了

手術が終われば、院内で少しお休みいただきます。
眼・お身体の状態を確認し、問題なければお帰りいただけます。
眼帯は、翌日の診察まで外さないでください。

手術後の検診

手術翌日は眼帯を付けたまま、検診にお越しいただきます。
良好な手術結果のためには、術後の診察が大変重要ですので、必ずご来院いただきますようお願いします。

網膜硝子体手術後の見え方

網膜硝子体手術後の見え方は、疾患や、その重症度によって大きく異なります。
予想される回復の程度や、それに要する期間については、術前の手術説明の際に出来る限り説明いたします。

よくあるご質問

目の手術を受けたことが無くて、不安です。大丈夫ですか?

はじめて手術を受けるときには、みなさま不安に感じるものです。手術機器の進歩によって硝子体手術の安全性が高まったことで、過去に比べると合併症の頻度も低くなっています。当院では、術前の説明時に現在の病状だけではなく、手術を受けた場合のメリットやデメリット、受けなかった場合の予想される状態などもお話ししています。その上で、本人様とご家族様にご納得いただいた上で手術を行うようにしています。
また、当院院長は大学病院で硝子体手術を専門とするチームに属し、後輩医師の指導に当たっていた経歴があります。

硝子体手術は
どれくらい時間が
かかりますか?

疾患にもよりますが、平均して30分から1時間30分程度です。
ミクロン単位で行われる硝子体手術は、眼科手術の中でも特に高度な手術です。当院では、本当に必要な手術工程を確実で丁寧に処理することが、より良い手術結果を出すために重要であると考えています。

硝子体手術は
痛いですか?

局所麻酔をかけますので、手術中はほとんど痛みません。もしも、痛みを感じた際には麻酔を追加することもできますので、ご安心ください。

手術後に、うつむき
姿勢が必要となると
聞きました。
必ず必要ですか?

黄斑前膜などでは、多くの場合、うつむきは必要ありませんが、手術中の眼の状態によっては、うつむきが必要になる場合もあります。網膜剥離や黄斑円孔など、術後にうつむき姿勢を取っていただくことが確実な場合は、術前に説明いたします。
病状によって術後の姿勢が変わってきますので、手術説明の際に詳しく説明させていただきます。