硝子体出血・眼底出血

硝子体出血

硝子体出血とは

硝子体出血とは硝子体とは、眼球の大部分を満たしているゼリー状の組織です。硝子体には血管がありませんが、網膜の表面に生じた新生血管などから出血があり、眼球内に溜まった状態のことを「硝子体出血」と呼びます。
硝子体出血を起こすと、硝子体が濁ります。外からの光が網膜へと届きづらくなり、視力低下などの症状を引き起こします。出血が多い場合や網膜剥離など重大な病気を起こしている場合には、失明に至ることもあります。

硝子体出血時の見え方・症状

出血量:少

  • 飛蚊症
  • 視界が白っぽく見える
  • 視力低下

出血量:多

  • 急激な視力低下
  • 最悪の場合には失明に

出血はどのくらいで
吸収されて治る?

少量の出血であれば、数カ月かけて徐々に吸収されることがあります。一方で時間が経っても吸収する傾向が見られないこともあり、その場合は手術によって出血を取り除くことになります。

硝子体出血が起こるのはなぜ?原因は?

硝子体出血が起こるのはなぜ?原因はまず、原因として挙げられるのは新生血管からの出血です。
糖尿病網膜症、網膜静脈閉塞症などが原因で毛細血管が詰まった場合、私たちの身体は何とか酸素・栄養を届けようと、本来は必要のない「新生血管」を網膜の表面に作ります。新生血管はもろく破れやすいため、容易に出血を起こして眼内に出血が溜まってしまいます。
次に注意が必要なのは網膜裂孔、網膜剥離による出血です。
網膜の血管部分に裂孔が生じると、裂けた血管から出血します。硝子体出血で眼底が見えない場合、網膜裂孔を見つけることが出来ないため注意が必要です。
その他、外傷などが原因になることもあります。

硝子体出血の治療方法

硝子体出血の治療法は、網膜が剥がれる「網膜剥離」の有無によって異なってきます。

網膜剥離が伴うケース

網膜剥離が伴うケース網膜剥離を伴う場合や疑われる場合には、早急な硝子体手術を行います。硝子体の出血部位を取り除き、剥離した網膜を復位させる手術です。出血の原因となった疾患がある場合には、あわせてその治療にも取り組みます。
なお、網膜剥離には至らず、網膜裂孔に留まる程度であれば、裂孔に対してレーザーで焼き固める治療(レーザー光凝固術)で済む場合もあります。

網膜剝離が伴わない
ケース

網膜剥離がなく、出血が少量であれば、自然吸収を期待して経過観察に留めることがあります。
しかし、自然吸収が見込めない、出血が多い、視力低下が著しいという場合には、出血部位を取り除く硝子体手術を行います。また、出血量が多く、眼底検査ができない場合には網膜剥離の有無が確認できません。網膜剥離は放置すると失明することがあるため、網膜が見えないほどの出血があれば、早期に硝子体手術を行います。

眼底出血

眼底出血とは?

網膜中心静脈閉塞網膜の静脈が詰まるなどして、網膜から出血することを「眼底出血」と言います。
出血が少なくても、その出血部位によっては急激な視力低下を起こすことがあります。また場合によっては、早期の手術が必要になります。

症状・見え方

症状・見え方

  • 視力低下
  • 視野のかすみ
  • 飛蚊症
  • 物が歪んで見える
  • 視野欠損

主に、上記のような症状が見られます。
出血した部位によって、どこまで視力が低下するか、どこの視野が欠けるかが変わってきます。

眼底出血の原因は何?
ストレスは関係する?

眼底出血の原因には、以下のようなものが考えられています。

眼底出血を引き起こす疾患

網膜静脈閉塞症

網膜静脈閉塞症とは、網膜の静脈が何らかの原因によって詰まる病気です。静脈が詰まることで血管内圧力が高まり、最終的に血管壁が壊れると眼底出血を起こします。

網膜細動脈瘤

網膜の動脈に瘤が生じる病気です。瘤の血管壁は壊れやすいため、破裂することで眼底出血を起こします。また黄斑部に影響すると視力低下の原因となることもあります。

糖尿病網膜症

糖尿病の3大合併症の1つです。慢性的な高血糖状態によって網膜の血管壁が壊れると、眼底出血を起こします。

高血圧網膜症

高血圧を主な原因として網膜が障害される病気です。程度によっては、眼底出血および視力低下が起こることがあります。

加齢黄斑変性

主に加齢を原因として、網膜の中心部(黄斑)が変性し、視力低下などの症状を引き起こす病気です。

眼底出血とストレスの関係

血圧を上昇させるリスク因子の1つに、ストレスがあります。血圧が上昇すると網膜の血管が破れて出血を起こしたり(高血圧網膜症)、血栓が詰まったり(網膜静脈閉塞症)するリスクも高くなるため、間接的には発症に影響する可能性があるといえます。

放置していたら
どうなる?

眼底出血を放置していると、視力低下などの症状が悪化します。特に黄斑部での出血は急激な視力低下を招き、最悪の場合には失明します。
早急な治療が必要な場合もありますので、放置しないで眼科を受診するようにしてください。

治療方法

主に、以下のような治療を行います。
原因となる糖尿病、高血圧、腎臓疾患など身体の病気がある場合には、それらの治療が重要です。

薬物療法

血流を改善する内服薬を使用します。網膜血管への負担、閉塞のリスクが軽減します。

レーザー光凝固術

糖尿病網膜症や網膜静脈閉塞症では、眼底出血がある程度吸収されるのを待ってからレーザーの照射を行います。新生血管の増殖を防ぐ働きがあります。

抗VEGF療法

眼底出血と一緒に黄斑浮腫を起こしている場合は抗VEGF療法を行います。病気によっては、眼底出血の吸収が早まります。

硝子体手術

網膜の表面上に固まった出血がある場合や硝子体出血を認める場合には、硝子体手術で出血を除去します。

やってはいけないこと

血圧が上がる行為

血圧が上昇すると、網膜血管の出血や閉塞のリスクが高くなります。そのため、治療期間中は血圧が上昇する行為は避けましょう。
ストレスをうまく解消すること、暴飲暴食・塩分の摂り過ぎを避けること、熱すぎる風呂・長時間のサウナを避けることなどを意識し、心身に負担をかけないようにしてください。