抗VEGF療法(硝子体注射)

硝子体注射(抗VEGF療法)とは

硝子体注射硝子体注射とは、眼球の大部分を満たしているゼリー状の組織である「硝子体」に薬を注射する治療です。
具体的には、加齢黄斑変性、糖尿病網膜症・網膜静脈閉塞症に伴う黄斑浮腫、強度近視による脈絡膜新生血管などの疾患に関連する物質「VEGF」を抑制する「抗VEGF薬」を注射します。VEGFの働きを抑えることで、病気の進行を抑制します。

注射の方法

硝子体注射(抗VEGF療法)とは白目部分に1ヵ所、薬剤を注射します。そのため、実際に注射している時間は3秒程度です。
当院では、痛みを軽減させるために極細の針を使用しており、空いた穴もすぐに塞がります。

硝子体注射の効果

黄斑浮腫などに対して

黄斑浮腫網膜の血管からの血液成分の漏れを抑制し、網膜の浮腫を改善します。

加齢黄斑変性、近視性脈絡膜新生血管症などに対して

加齢黄斑変性網膜の下で新生する異常な血管を縮小させ、新生血管からの血液成分の漏れを抑制します。

網膜静脈閉塞症、
糖尿病網膜症などに
対して

糖尿病網膜症網膜の浮腫、新生血管発生の原因となるVEGFの働きを抑制し、それらの病変を改善します。

適応疾患

糖尿病網膜症

糖尿病の3大合併症の1つです。網膜の毛細血管が詰まることで、網膜へと酸素・栄養が届かず、視力低下などの症状を引き起こします。また進行し、血管新生、硝子体出血、網膜剥離、最悪の場合には失明に至ることもあります。
他の治療法としては、ステロイド剤を用いた薬物療法、レーザー治療、硝子体手術などがあります。もちろん、糖尿病そのものに対する治療も欠かせません。

網膜静脈閉塞症

網膜の血管が詰まることで、血管の中から血液やその成分が網膜に漏れ出し、網膜の中に出血が溜まったり、網膜の中央にある黄斑部が腫れたりします。それにより視力低下や視野欠損、目のかすみ、歪んで見えるなどの症状があらわれます。
高血圧、脂質異常症などの生活習慣病により引き起こされた動脈硬化が主な原因となります。
他の治療法としては、ステロイド剤を用いた薬物療法、レーザー治療、硝子体手術などがあります。

加齢黄斑変性

主に加齢を原因として、網膜の中心の黄斑部で出血や浮腫が生じる病気です。視力低下や中心暗点、視野欠損、色覚異常などの症状を伴います。治療せずに放置した場合、失明することもあります。硝子体注射が主な治療法です。

強度近視

強度近視によって黄斑部に出血や浮腫が生じると、視力低下、ゆがんで見える、中心が見えないなどさまざまな症状が起こります。
脈絡膜新生血管や黄斑浮腫に対しては、硝子体注射が有効です。網膜剥離や近視性牽引性黄斑症など、網膜の形に異常をきたしているケースでは、硝子体手術が行われます。

硝子体注射のデメリット

時間とともに効果が
薄れてくる

滲出型加齢黄斑変性に対する硝子体注射の多くは、当初1か月に1回、連続3回の注射が必要となります。しかし、硝子体注射の効果は1〜3か月程度しか持続しません。効果持続時間を伸ばそうと新たな注射薬も開発されていますが、効果の持続時間に限りがあることに変わりはありません。そのため、持続的に結果を得るためには、1~3か月ごとの定期的が注射が必要となります。

薬価が高い

保険適用となる治療ですが、薬価(国により定められた医薬品の価格)が高いために治療費が高くなります。

感染症のリスクがある

数千人に1人という頻度ですが、注射した部位から感染症を起こすことがあります。術後の点眼を忘れないようにしてください。

よくあるご質問

硝子体注射をした
直後の見え方は
どうですか?

注射後、視界がかすみがかかったように見えることがありますが、通常は一時的なものであり、その後次第に改善します。
また、硝子体注射の際に少量の空気が注射液と一緒に眼内に入ることがあります。この場合、視野の. 下の方に小さな丸い影が見えますが、空気が吸収されるとともに数日で消えていきますので、ご安心ください。

硝子体注射は
痛いですか?

「目に注射」と聞くと、痛そうと思われるかもしれませんが、点眼麻酔をしっかり行った上で、ごく細い針を使って注射するため、痛みはほとんどありません。

硝子体注射の治療に
かかる時間は
どれくらいですか?

注射前に目の周囲や目の表面をしっかりと消毒するために数分を要しますが、注射そのものは数秒ほどで終わります。

硝子体注射後、視界に黒い丸が見えますが
大丈夫ですか?

注射後、視野の下の方に複数の丸い影が見えることがあります。注射のようになりますが、数日以内に消失します。ご安心ください。