黄斑円孔とは
黄斑円孔とは、網膜の中心にある黄斑に穴(孔)があく病気です。視力低下、物が歪んで見えるといった症状を伴います。放置していると視力が0.1以下になってしまうことも珍しくありません。また、眼鏡・コンタクトレンズで矯正を図っても、十分な視力の回復は得られません。
黄斑円孔の見え方・症状
- 視力低下
- 物が歪んで見える
- 物がつぶれて見える
- 中心が見えない
黄斑円孔の種類ごとの原因
黄斑円孔は、大きく以下の3つに分けられます。
それぞれ、原因が異なります。
特発性
主に加齢を原因として発症する黄斑円孔です。
3つの中では、もっとも頻度が高くなります。また60代前後の女性に好発します。
続発性
強度近視や網膜剥離など、他の眼の病気、手術後の合併症として起こる黄斑円孔です。
特発性よりも難治性で、手術も時間がかかる傾向にあります。
外傷性
スポーツ中の接触などによって眼球を強く打つことで発症する黄斑円孔です。
若い方の場合は、自然に孔が塞がることもあります。ただし、自己判断で自然治癒を待つのではなく、必ず眼科に相談して医師による診断を受けるようにしてください。
黄斑円孔の検査方法
一般検査
(視力検査・眼圧検査)
黄斑円孔になっている期間が長いほど黄斑部の機能が低下するため、視力は低下していきます。
細隙灯顕微鏡検査
白内障など、他の加齢性疾患の有無なども見つけることができる検査です。
眼底検査
眼底にある網膜を観察し、円孔の有無や大きさを調べます。
他の網膜の疾患を除外するためにも必要となる検査です。
光干渉断層計
網膜の断面を撮影し、円孔の大きさや形態を調べます。
治療方針を決定するためにも欠かせない検査です。
自然治癒は可能?
放置するとどうなる?
黄斑円孔は放置することで視細胞の機能が低下し、症状が悪化します。光を完全に失うことはほぼありませんが、進行した場合、最終的に視力は0.1以下にまで低下してしまいます。
外傷性の黄斑円孔については、ごく稀に自然治癒することがあります。ただし、その場合も必ず眼科を受診し、医師による診断を受けるようにしてください。
治療方法
黄斑円孔の治療には、硝子体手術という手術が必要になります。
硝子体を切除し、黄斑円孔のまわりの牽引を解除した上で、硝子体の代わりに医療用ガスを入れて孔を塞ぎます。
手術後の生活
症例により異なりますが、手術後は1日のうち数時間「うつぶせ」の姿勢で過ごす日を数日過ごす必要があります。黄斑円孔を閉鎖させるためには、手術直後から「うつぶせ」姿勢をきっちり取ることが非常に重要です。
なお、視力や歪みなどは、数カ月ほどをかけてゆっくりと改善していきます。ただし、完全に歪みが解消したり、視力が元に戻ることは稀です。