黄斑浮腫とは
眼の奥には、カメラでいうフィルムの役割を果たす「網膜」という膜が存在します。そして網膜の中心部のことを「黄斑(おうはん)」と言います。
つまり「黄斑浮腫」とは、この黄斑で浮腫(むくみ)が生じている状態を指します。黄斑浮腫が起きると、視界がぼやけたり、歪んだり、暗くなったりします。
放置するとどうなる?
黄斑浮腫を放置していると、網膜の神経にダメージが蓄積され、たとえ浮腫が改善しても視機能が回復しない恐れがあります。
黄斑浮腫の症状・見え方
- ぼやけて見える
- 目のかすみ
- 視界の歪み
- 視野が暗く見える
- コントラストの低下
黄斑浮腫の原因
黄斑浮腫は、糖尿病網膜症、網膜静脈閉塞症に伴う眼底出血、ぶどう膜炎などを原因として発症します。
原因となる主な疾患
網膜静脈閉塞症
主に動脈硬化を原因として網膜の血管が閉塞し、血液が流れなくなるのが「網膜静脈閉塞症」です。
もろく破れやすい新生血管が生じるため、眼底出血や黄斑浮腫のリスクが高くなります。
ぶどう膜炎
眼の中の虹彩、毛様体、脈絡膜から構成される血管の多い組織「ぶどう膜」で炎症が起こった状態です。
ぶどう膜炎の原因はウイルスや細菌などの感染、膠原病などの自己免疫疾患、悪性腫瘍など多岐に渡ります。
炎症の起こる部位や程度によって自覚症状は様々で片眼に起こることもあれば、両眼同時に起きることもあります。
主に視力低下、眼の充血、炎症や眼圧上昇による眼の痛み、飛蚊症、ものが歪んで見えるなどの症状が出ます。
ぶどう膜には50種類以上の原因がありますが、難しく、最終的に原因を特定できるのは全体の半数以下です。
診断に特殊な検査が必要となる場合には専門施設に紹介させていただく場合があります。
検査方法
視力検査
黄斑浮腫が生じると視力が低下します。黄斑浮腫の期間が長いほど、視力は低下する傾向にあります。
眼圧検査
圧縮した空気を眼に吹き付け、眼圧を測定します。
眼底検査
細隙灯顕微鏡などを使って、網膜の状態を調べます。病変部を拡大して観察したり、浮腫・出血の有無を確認できます。
網膜断層検査(OCT)
網膜に対するより詳細な検査です。網膜の断面の状態、および浮腫の程度を正確に調べることができます。
治療方法
黄斑浮腫の治療法は原因となった病気によって異なりますが、主な治療選択肢としては次のようなものがあります。
ステロイド注射
炎症と浮腫を抑制する働きのあるステロイドを注射します。
レーザー光凝固術
レーザーを照射し、網膜を凝固させる治療です。染み出した成分が溜まることを防ぎます。
当院では、網膜の正常組織へのダメージを最小限に抑えるマイクロパルス閾値下凝固を行っています。