加齢黄斑変性

加齢黄斑変性とは

加齢黄斑変性とは眼の奥には、カメラでいうフィルムの役割を果たす「網膜」という膜が存在します。そして網膜の中心部のことを「黄斑(おうはん)」と言います。
加齢黄斑変性とは、カメラでいうフィルムの役割を果たしている網膜の中心部分「黄斑」で出血・浮腫が生じ、視力低下を引き起こす病気です。適切な治療をせずに放置していると、視力の回復が困難になります。
視覚障害の中では比較的発症率が高い病気です。

加齢黄斑変性の症状

初期症状

代表的な初期症状として、「変視症」が挙げられます。
視界の中心が歪んで見えます。

悪化時の症状

悪化時の症状その後進行すると、以下のような症状が現れるようになります。ただ、症状は通常片眼で生じるため、両眼で見た場合は反対側の健康な眼が症状を隠してしまうことから、ご自身で気づけないケースも少なくありません。

  • 視界の中心が暗くなる
    「中心暗点」
  • 視野の一部が欠ける
    「視野欠損」
  • 色の判別が困難になる
  • 視力低下

加齢黄斑変性の原因

加齢黄斑変性の種類

加齢黄斑変性は大きく、滲出型と萎縮型に分けられます。

「滲出型」
加齢黄斑変性

滲出型加齢黄斑変性網膜のすぐ下に新生血管(もろい異常な血管)が生じ、網膜の下に血液成分が染み出すタイプの加齢黄斑変性です。
比較的速やかに病気は進行していきます。

「萎縮型」
加齢黄斑変性

萎縮型加齢黄斑変性主に加齢を原因として、黄斑部分の組織が萎縮していくタイプの加齢黄斑変性です。緩やかに進行するのが特徴です。

なりやすい人

加齢は、黄斑部から老廃物を取り除く働きを低下させます。また喫煙者は、非喫煙者と比べて加齢黄斑変性の発症リスクが4~5倍にものぼります。
その他、滲出型加齢黄斑変性の発症にかかわる遺伝子が発見されており、この遺伝子を持つ人は発症率が1.4倍になるとの報告もあります。
これらのことより、以下に該当する方は、加齢黄斑変性に注意が必要です。

  • 60歳以上の方
    (特に男性)
  • 喫煙者、副流煙を日常的に吸う人
  • 血縁者に加齢黄斑変性の既往歴がある人

検査方法

視力検査

加齢黄斑変性が進行すると視力が低下します。
初期であれば、視力低下が認められないこともあります。

眼底検査

網膜を観察し、出血・浮腫の有無などを調べます。

アムスラー検査

格子状の図を使い簡単に行うことができる検査です。視野のゆがみやぼやけを調べます。

アムスラーチャート
による
セルフチェックはこちら

光干渉断層計

光干渉断層計(OCT)と呼ばれる三次元画像解析装置を用いて網膜の断面図を撮影することができます。眼底検査では発見困難な微小な変化も発見することができます。

治療方法

加齢黄斑変性の治療法には、以下のようなものがあります。

抗VEGF療法

抗VEGF療法体内には、新生血管の成長を促進する「VEGF」という物質が存在します。
抗血管新生療法では、VEGFに対する抗体(抗VEGF薬)を眼内に注射し、血管の新生を抑制する治療です。
現在では、抗血管新生療法(抗VEGF療法)が加齢黄斑変性治療の主要な選択肢となっています。

光線力学的療法

光線力学的療法光に反応する薬剤を注射した上で、レーザーを照射して新生血管を退縮させる治療です。網膜へのダメージを抑えながら、新生血管に治療効果を集中させることができます。
抗血管新生療法の効果が得にくい症例などで併用して行われます。
治療後しばらくの間、光に当たると光過敏症などの合併症が起こることがあり当院では実施していませんので、適応の患者様は専門の施設へご紹介させていただきます。

加齢黄斑変性の予防方法

禁煙

喫煙者は、非喫煙者よりも加齢黄斑変性の発症リスクが高くなります。
糖尿病などの生活習慣病からの合併症などを防ぐためにも、禁煙をしましょう。

定期検査

定期検査眼科疾患には、加齢黄斑変性の他にも、白内障や緑内障など、初期症状が乏しい・進行が緩やかなものが少なくありません。定期的に眼科で検査を受けることで、これらの疾患を早期に発見することができます。

食生活の意識

バランスの良い食事が基本となりますが、特にオメガ3脂肪酸の積極的な摂取によって加齢黄斑変性のリスクが下がると言われています。オメガ3脂肪酸は、サバやイワシなどの青魚に豊富に含まれています。

適度な運動

適度な運動適度な運動は、加齢黄斑変性(特に滲出型)の発症のリスクを下げると言われています。たまに激しい運動をするよりも、軽い運動を習慣化し継続することが大切です。

紫外線対策

紫外線は、網膜へのダメージを蓄積させます。サングラスや帽子などを活用し、肌だけでなく目の紫外線対策にも取り組みましょう。